【アメリカ競馬】イロコイ障害競走(Iroquois Steeplechase)

今回はイロコイ障害競走を紹介します。

 

目次

 

イロコイ障害競走とは

テネシー州ナッシュビル近郊にあるパーシーワーナー競馬場(Percy Warner)で行われる障害競走のフェスティバルで、毎年5月2週の土曜日に1年に1日だけの開催になります。1日に7レース(すべて障害競走)が行われ、メインとなる競走はCaivin Houghland Iroquois S (G1)、距離3マイルのハードル競走で総賞金は$200,000(1着賞金は60%)。全ての競走はサラブレッドのレースで、普段別の競馬場で走っている馬が集まります。よって草競馬などとは違い、NSA(Nathonal Steeple Association)公式に記録が残る競走として行われており、Equibase(北米の競馬が検索できるサイト)でも全出走馬、レースの検索が出来ます。

 

Equibaseの画面

 

テネシー州での競馬事情

テネシー州ではオンラインのギャンブルは2019年に合法化されましたが、それ以外のギャンブルは禁止されています。それゆえ、州内に賭博の行われる競馬場(およびカジノなど)は存在せず、イロコイ障害競走の行われるパーシーワーナー競馬場でも競馬当日は一切馬券の発売はありません(ただブックメーカーでの馬券販売はされてはいるようです)。

 

普段競馬場はパーシーワーナーパークと呼ばれており、トレッキングコースとして地元で人気のある公園です。多くが森に囲まれており、鳥のさえずりの聞こえる自然豊かな場所になります。

warnerparks.org

 

イロコイ障害競走の趣旨

テネシー州はボランティアが活発に行われる州です。このフェスティバルは社会貢献が主な趣旨とされており、レースで得られた寄付金は小児病院への支援などに使われます。よって当日競馬場に来場するにはに入場券とは別に寄付金が必要となり、オンラインでの入場券購入時に寄付も同時に行われます(寄付額は任意)。

 

入場券

入場券はイロコイ障害競走のH/Pより購入することが出来、2024年分については2023年11月よりH/Pで販売が開始されました。当日現地での発売は無い。

www.iroquoissteeplechase.org

 

一般の入場料は$75+(手数料、寄付金)と結構高い。これには観覧席などは無くただ場内にアクセス出来るのみ。観覧席を確保したい場合はさらに高額なチケットの購入が必要であるが、折り畳みイスの持ち込みは可能で、結構多くの人がイスを持ち込んでいる。

他にはテントに席が設けられ食事が振舞われるコースなど様々あり、VIPのものになると$1200というものもある。内馬場では個人でテントを張るために場所を購入するチケットもあるが、こちらもかなり高額。食事の振舞われるテントの中にはコースから離れているものもあり、レースを観戦しながらゆっくりと食事をすることが想定されていないものもある。

 

競馬場へのアクセスと駐車場

公共交通機関は無く、車でのアクセスが必須。州間高速I40から数マイルとそこまで離れてはいないが、一か所に車が集中するため、レース開始1時間ほど前の時間帯では競馬場付近でかなりの渋滞が発生する(私はレース開始1時間半前到着を目指して行ったが、30分程渋滞につかまった…)。

 

普段の公園では無料駐車場が設置されているが、競馬開催日だけは近くにオフィシャルの無料駐車場は無く、一番離れているゲート7駐車場で$25(2024年実績)。事前にH/Pから駐車券を購入できるが、事前購入していなくても当日支払いも可能。Uberで行く場合は送迎専用の駐車場が設置されている。

 

競馬場の様子

入場ゲート(ここで事前購入したチケットを見せます)

 

無料でもらえるレーシングプログラム(入場門での配布ではなく、グッズショップに置かれていました)

 

場内

 

観覧席

 

内馬場へのアクセスはコースを横断

 

障害も間近に見ることが出来る(こちらは1~6レースで使用されるハードル競走用)

 

こちらは最終7レースのTimber競走のみで使用される障害(木製)

 

レースの様子

レース前、馬道から人にひかれパドックに向かう

 

パドックは観客席前のゴール前

 

スターティングゲートは無く、旗の合図でスタート(画像はライブ動画より)

 

障害飛越

 

レース後

 

シャワーで熱くなった馬体を冷やす

 

馬道を引き上げる

 

競馬場での食事

こちらはROYAL615という食事の出来るテント($175で利用出来る)

 

入場券だけの方はフードトラックを利用

 

アメリカで人気のファストフードチェーンChick-Fil-Aも来ていた

意外にお酒を売っている店が少ない印象

 

以上がイロコイ障害競走当日の様子でした。

 

感想

テネシー州で年1回だけ行われる競馬に来られたのは良い経験でした。馬券発売が無くても多くの人を呼び込むことが出来るのは(当日は30000人来場もしたとのこと)、アメリカ競馬がギャンブルというよりパーティーを楽しむ社交の場との認識があるのでしょう。だからこそ、来場者の方々は着飾ってこられている方が多かったです(男性は最低でも襟付きシャツを着用していたので、Tシャツで着てしまったのが恥ずかしかった…)。私は競馬の存在自体が好きなので馬券無しでも競馬を見ますが、この欧米特有の競馬観は日本には定着しない文化なのかもしれません。